海外から帰国、ホテル隔離、そして出所

2021年12月、ドイツから帰国し、6日間のホテル隔離となりました。出国時は帰国時は14日間の自宅隔離のみでしたが、新型コロナウイルスの変異種オミクロン株の世界的な拡大により、急遽3日間のホテルでの隔離、そしてさらに6日間のホテル隔離へと変更となりました。
ここではホテル隔離の状況を実体験から報告したいと思います。

ドイツからの出国から日本への入国

まず気になるのは出国手続きかと思います。必ず必要なのはPCR検査の陰性証明書。これは出国前72時間以内のものでなくてはならず、結果の判明が72時間以内ではないので注意してください。

日本では検体採取方法が「鼻咽頭ぬぐい液」・「唾液」・「鼻咽頭ぬぐい液・咽頭ぬぐい液の混合」のいずれか、検査方法も指定されていますので、医療機関等での検査が、採取方法、検査方法が日本の指定するものに沿ったものであるかものであるか必ず確かめてください。検査証明書は厚生労働省の指定するフォーマットに記載してもらうと間違いは起きにくいと思います。
*厚生労働省:検査証明書の提出について
指定フォーマット(日本語・英語版)

もしこの指定の採取方法や検査方法でなかった場合はどうなるのか?
気になりますよね。厚生労働省のHPには疫所へ「出国前72時間以内の検査証明書」の提出が必要ですと記載があり、「出国前72時間以内の検査証明書」が提出できない場合、検疫法に基づき、日本への上陸が認められないことになります。」とありますが、方法は違えどPCR検査では陰性なんだし、問題ないでしょと思いますよね?
でもダメなんです。空港のチェックインカウンターで搭乗を拒否されます!実際その場面を目の前で見ました。ですので、帰国したいなら必ず指定の採取方法や検査方法、そして指定のフォーマットを使用してください。
*指定のフォーマットは空港などのPCR検査施設などでは用意されている場合もあります。

PCR検査の陰性証明書のほかにもまだあります。次は「検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書」です。14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入等についてきちんと守ることを約束しますといった書類ですね。これの誓約書にサイン等をすることによって入国後14日間は自宅等で待機しますといったことに同意したことになります。
*厚生労働省:検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書の提出について

また、これとは別に指定された国からの帰国者・入国者は検疫所が確保する宿泊施設で指定日数の待機と検査が実施されています。これがホテル隔離と言われているものです。対象となっている国以外からの帰国・入国は14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機となりますが、ドイツから帰国した私は6日間のホテル隔離となりました。
対象国リスト(日本語版) ← こちらは12月9日午前0時(日本時間)以降に対象となる国・地域です。日々更新されるので注意してください。

これらの他に入国時のフライトや国内での滞在先を提出する質問表の提出が必要です。WEBでの回答となりますので、自身のフライト情報や、滞在先などを記入してください。
*厚生労働省:新型コロナウイルス感染症対策 質問票回答受付

これに付随して検疫法第12条の規定に基づく質問というものがあります。
PCR検査の陰性証明書に虚偽はないか、入国時に厚生労働省が指定するアプリ(健康状態の報告、位置情報確認、ビデオ通話アプリ)をスマートフォンにインストールし、位置情報保存設定をするかなどの質問です。これらの質問に回答しない場合や、虚偽の回答をした場合は、「懲役6月以下又は罰金 50 万円以下」の罰則となります。
*厚生労働省:質問票の提出について
12条に基づく質問 ← こちらも12月4日現在のもので、更新されることもありますので注意してください。

上記にあった入国時に厚生労働省が指定するアプリですが、2種類あります。ひとつは14日間の待機時に必要な「MySOS」という健康状態の報告、位置情報確認、ビデオ通話アプリです。
*厚生労働省:スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用について

このアプリで待機場所を登録し、毎日の健康状態の報告(と言っても極めて簡単なものですが)を行い、不規則に通知のくる位置情報の確認(現在地の報告)、ビデオ通話への応答(待機している部屋などの状況がわかるように)をすることになります。待機中はこのアプリでの対応が主となります。
あとは接触確認アプリ「COCOA」のダウンロードです。これは一度ダウンロードして設定すればあとは何もすることはありません。

このほか入国時に注意する点として、ワクチンを2回接種済みの方は持っているかと思いますが、ワクチン接種証明書がありますよね。この「写し」を提出する必要がありますのでかならずコピーをして持っていてください。
先日前ではこの「写し」の提出により検疫所が確保する宿泊施設での待機や14日間の待機期間の一部が短縮される措置がありました。
*現在はこの措置は停止されています。
*厚生労働省:ワクチン接種証明書の「写し」の提出について

まとめると必要なものとして以下の書類とアプリがあります。
・入国前にWEBで回答する質問:新型コロナウイルス感染症対策 質問票回答
・入国時に必要な提出書類:「PCR検査の陰性証明書」・「検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書」・「検疫法第12条の規定に基づく質問」」・「ワクチン接種証明書の写し(持っている方)」
・ダウンロードが必要なアプリ:「MySOS」・「COCOA」

成田での検疫

搭乗したフライトには乗客は20人ほど。飛行機から降りると空港はがらんとした感じで、行くべき方向に矢印が書かれその方向にフライトごとにまとまって進んでいきます。
まずPCR検査のため唾液の採取、そして上記の種類を順に提出していきます。アプリのインストールの確認なども行われ、それらが終わるのに1〜2時間でしょうか。
そのあと、約1時間ほどPCR検査の結果を待ち、今回のフライトは全員が陰性でしたのでこのあと通関に向かいます。ここを通ればやっと空港の外に!
ホテルまではバスで移動となり、バスまでは前後を職員が挟み、フライトごとに移動となります。
*私はすぐにバスが出発となりましたが、中には隔離ホテルがなかなか決まらず空港で何時間も待たされることもあると聞きます。名古屋や仙台、福岡のホテルの場合もあり、ここまらさらに飛行機で移動の場合も!
15時の到着からここまで約3時間、早くホテルについて休みたい。
*空港からのバスに乗車する前に必ずトイレに行ってください!職員の方に言えば行かせてくれます。でないとこのあと何時間乗るかわからないので絶対トイレに困ります!

隔離施設のホテルへの移動

私は職員の持っていた書類がちらっと見え、「YOKOHAMA」と書いてあったので行き先はおおよそ検討はついていましたが、ほかの方はどこに向かうかも知らされず、ただひたすら無言で到着を待つのみ。。。
その日は高速道路も混んでおり、成田から横浜まで3時間!(トイレに行っておいてよかった!)
フライト約12時間(私はPCR検査を当日空港で予約していたため、フライトの8時間前から空港で待機)、空港で3時間、そしてバスで3時間。もうヘトヘトです。
そしてやっと隔離施設であるホテルに到着。今回は「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」でした。しかし私たちのバスの前にもう1台先に到着しているバスがおり、そのバスに乗っている方々のチェックインが終わらないと降ろしてもらえません。ほかのフライトの方々と限りなく接触を避けるための措置のようです。
そのため約1時間ほどバスで待機となりました。
*私たちのバスの後にもほぼ同時に到着したバスがおり、その方々はもっと待っていたと思います。
そしてチェックインも済み、手配されたお弁当を受けとり、部屋へ!

海の見えるホテルなのに海みえないやん!中庭側の部屋はかなり精神的にキツイ!せめて外の景色が見たい。。。

前日の到着便の方の中には成田に到着してから名古屋の隔離施設に運ばれた方、その後の便では福岡のホテルに!といった話も聞きます。それを考えると文句は言えないか。。。

ホテルでのルール

ホテルといっても1棟まるまる政府が借り上げているようで、「アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉」のスタッフは誰ひとりいません。なのでホテルという概念は捨てて、ただの隔離施設と思ってください。
まず、部屋からは一歩も出れません。空気の入れ替えで少しドアは開けることはあっても基本的にはずっと閉め切った密室です。
食事は3食ドアノブに引っ掛けられています。時間は日によってで、不規則です。12時に前に昼のお弁当が届くこともあれば、13時半ころになることもあり、夕飯も19時くらいから21時くらいまでとバラバラです。

部屋では喫煙室であればタバコは吸えますが、なくなっても購入はできません。お酒は禁止です。

差し入れ、ネットショッピング、Uber eatsはできますが、生ものなど(温かい食事や冷蔵・冷凍の必要なもの、アルコールなども)は不可です。
私はUber eatsでカップ麺とノンアルコールビールを頼みました。
すべて受付での受け取りとなり、その後スタッフが部屋に持ってきてくれますが、翌日配達になるとの注意書きがありましたが、私の時は配達から1〜2時間で部屋まで持ってきてもらえました。
*河野大臣は空港にデリバリー受取用のロッカーの設置を検討していると言っていますが、それよりも移動のバス内で、隔離施設となるホテルの詳細、ホテルでのルールを説明してもらった方がチェックイン時などにデリバリーを受け取れたりするのではないでしょうか。空港で受け取るのは荷物も多いですし、そこでほかのフライトの方との接触があったり、余計に時間がかかったりするので無理があると思います。一度空港の検疫からホテルまでを体験してみると実感できるのではないでしょうか。

ホテルの部屋での生活ですが、タオル、シーツなどは交換できません。希望者には必要枚数を追加で届きます。
スティックのコーヒーやお茶が置いてありますが1日につき1杯となります。
Wi-Fiはありますし、特に不便はないですが、部屋が狭いので圧迫感があってストレスが溜まりますね。
洗濯はコインランドリーでできますが、電話による先着での受付ですので、一度もできませんでした。
ゴミは廊下に出しておくと夜中などに回収されます。

パ○○のかたがたも大変な思いで働いており、ホテル隔離対象者が急激に増えて毎日目一杯のようです。

気になる食事

朝食

隔離1日目は寝坊して食べられませんでした。2日目、3日目と比較的軽めの朝食も4日目、5日目はボリューミー。最終日はまた軽め。2日目と6日目はまるで機内食の軽食のようでしたね。

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昼食

中華や洋食などバラエティに富んでいる。半分の日程でおかずだけのお弁当とおにぎり2個といった組み合わせ。ボリュームはそれほどないですね。

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夕食

揚げ物などが多く、夕食を意識した内容も6日間うち3日でた3連おにぎりが曲者。初めはよかったが2日に1回このパターンだと飽きてくる。

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まったく同じメニューはありませんでしたが、2〜3日をめどに同じ雰囲気のお弁当になります。3日間のホテル隔離の方が多いからなのでしょうが、6日間、10日間の隔離の方も増えています。その方達は1日の中で3食配られるお弁当が隔離生活のなかで大きく影響してきます。
もうそれしか楽しみがなくなるといっても過言ではないかもしれません。
なので1週間くらいを1ローテーションにしてメニューを組んで欲しいです。
これはちょっと食べたくないなといったものはなく、悪くはない内容でしたが味付けは全体的に薄い印象です。

そして、温かいお弁当が食べたいです。10℃以下で保存となっており、配られた時にはすでに冷めきっており、電子レンジもありません。
中には電子レンジのあるホテルもあるかもしれませんが、ここにはありませんでした。6日間、3食冷たい弁当を食べたいと思いますか?
冷たい食事に開かない窓、閉め切った部屋。これだけ聞くとまるで刑務所かなにかにいるようですね。入ったことないから知らんけど(笑)
刑務所はちょっと言い過ぎですが、もう少し改善の余地はあるのではないでしょうか。お弁当は機内食を作っている会社のようなので、機内食のように温かいまま配ることができればそれだけでも隔離生活はもっと良くなる気がします。

そして出所(笑)

3日目と6日目の朝にPCR検査があり、両日陰性ですと晴れて出所(笑)となります。
朝7時頃に検査キットが各部屋に配られ、7:30ころに回収されます。あとは結果を待つのみ。予定では14時頃とのことでしたが、今回は15時頃に部屋の電話が鳴り、陰性だったので帰れるとのこと。すぐにロビーに移動します。
そしてバスに乗車して成田空港に。17時過ぎに到着しました。ここから手配していたハイヤーで帰宅です。長かった。本当に長かった。
この後8日間は自宅での待機。約半月が隔離で動けないのはしんどいですが、日本国内で感染拡大が収まってきているのはこの隔離措置もひとつの要因なのかと思うとやむを得ないですね。

隔離を終えて・・・

隔離施設のスタッフの方々は感染リスクを負いながら、一生懸命業務に向き合っていると思います。中には隔離対象者が増えて、隔離施設も増えたため、人員不足でまったくまわっていないですとつぶやくかたもいました。
それも理解できますが、パ○○さんは現場の状況をもっと考えて欲しいですね。人員不足などはダイレクトに隔離対象者へのサービス低下に繋がります。私も新しいバスタオルを頼みましたが部屋に届くまで2日かかりました。
隔離対象者は無料で宿泊ですが、パ○○さんは政府から業務委託を受けてお仕事をなさっているので、最低限の決められたサービスの提供は必須なのではないでしょうか。人がいないので差し入れや配達されたものを部屋まで運ぶのに1日かかりますや依頼した替えのタオルが2日も届かないのは政府の求めているサービスを提供できていないのではないでしょうか。それで委託料だけしっかりもらうのは疑問です。利益を増やすために人件費を減らしているのではないかと疑ってしまいます。
また、隔離されているときの隔離対象者への待遇が悪いと施設を提供しているホテル(今回はアパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉)のイメージも悪くなります。ホテルも施設を提供する際に政府からこういったサービスを提供すると伝わっているでしょうし、隔離業務を運営する企業がそれができていないためにホテルのイメージが悪くなるようであれば問題なのではないでしょうか。隔離中はスタッフとはほぼ接することもないので、ホテルの従業員が業務を行なっていると思っているかたも多いと思いますので、そういったことも考えて業務を行なって欲しいです。
事実、これまでいいイメージだったアパホテルが今回の隔離でかなり悪くなりました。

人手不足は受注した企業側の責任ですのですみやかに解消し、求められたサービスを確実に提供できるようにし、できれば求められている以上の良いサービスを提供して欲しいですね。

そしてこの隔離自体は隔離された側として否定的ではなく賛成です。日本国内で感染拡大がここまで収まってる要因が確かでない現状、この隔離措置がその要因のひとつであると実際に体験してみて感じます。

この措置があったからこそ感染が拡大していないのではないでしょうか。科学的な根拠は何もないですが、実体験として感じます。

上記はこれからホテルでの隔離となる方の参考、そして今後の改善への参考となれば。。。

*入国時のルールや必要な書類、厚生労働省から提供されているフォーマットなどは日々刻々と更新されます。ここに掲載されているものは12月12日時点でのものです。
また、入国時に必要なものなど間違いがあるようでしたらご指摘ください。

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